保善高校陸上競技部&OB会
 

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栄養に対する認識

運動と栄養と休養

「はじめに」

陸上競技に限らず、トレーニングの量や質の向上を求められる昨今のスポーツ界。
競技スポーツを志す選手は、大量のカロリー消費や大量の発汗をともなってトレーニングをしています。
それによって疲労感・倦怠感で食欲が落ち、食べられなくなり摂取カロリーも不足し、栄養がかたよるなどして貧血や体調不良を起こす選手も少なくありません。
また食事や休養がしっかりとられていないため、トレーニングをしているのに効果があがらないとか故障の治りが遅いなどという選手も多いと思われます。

「運動と栄養と休養」の重要な係わり合いは、選手のみならず選手をサポートする家族の皆様方にも理解が必要であると考えます。
これから述べる内容が、少しでも我が後輩諸君(選手)とその家族の皆様に役立てれば幸いです。

 

「運動・栄養・休養」

自己の記録を向上させるためには、トレーニングの質や量を追求する事は避けて通れない条件となってきます。
そもそも自己の競技能力を向上させるのに必要なことは「筋肉や循環機能へ負荷を与える事、その運動で消費したエネルギーや破壊されたタンパク質を補給するため様々な栄養素を食事から摂取する事、そして負荷を与えた心身の疲れをとり次のトレーニングや生活活動に備え休養をとる事。」これら三つの連係した条件「運動(負荷)・栄養・休養」が重要となってきます。

これらの条件のバランスは運動にポイントを置き、それに合わせて栄養と休養を調節し、出来るだけ偏りが無いようにする事がよいと言えます。
しかし人には怠け心や食事の好き嫌い、また都会の高校生には帰宅途中或いは休日等に様々な誘惑も多いので、精神面で弱く目的意識の低い選手では、簡単にこのバランスを崩してしまうことでしょう。
そしてこの精神的な部分を強くするのにも、負荷を与えることや栄養・休養が深く関わっています。

人の精神面には各種のホルモンが関係し、そのホルモンも様々な栄養素を無くしてはしっかり分泌されないからです。(ホルモンは精神面だけでなく、身体の発達や健康面でも重要です。)

最近よくとりあげられている、小・中学生で「問題行動」のある子供たちの多くが朝食をとらず、その他の食事もファーストフード・スナック類・菓子パンだけの場合もあるようです。
好きな物ばかりしか食べない、あるいはインスタント食品ばかりといったように、栄養面での偏りが指摘されています。
『我慢が効かない・キレル・不登校』といった行動も家庭や学校の躾け(心のトレーニング<負荷>)と食環境(栄養)と息抜きや安らぎ等の家庭環境(休養)のバランスを無視できないのではないでしょうか。

 

「食事の重要性」

前述した通り、より高いレベルを目指すにはその為のトレーニングが必要となり、そこには様々な心理が働き肉体的にも精神的にも負荷がかかってきます。
それに伴い、栄養を摂取し休養を取ることが必要となるわけですが、ベストの環境を求めるのも確かに難しい問題です。
現に保善高校の生徒の場合、グランドも無く寮生活ではないので練習場所がまちまちになり、日によっては帰宅時間がかかり、食事が遅くなる生徒もいると思います。

そういう意味ではベストの環境ばかりにこだわると、それ自体がストレスになる場合もあるかも知れません。
そこでベストを目指すことを前提に「ベストが駄目ならベター」の考えで、与えられた環境の中に良い方法を見つけだすことが大切と言えます。

そもそも与えられた環境を言い訳にしていたら、強い選手を目指す事は出来ないと思います。

まず練習の前にくる食事(昼食)では、お弁当や学食・パン食などまちまちかと思われます。
トレーニングで効果を上げるためにも、練習の前の食事ではたんぱく質や炭水化物・ビタミン等の栄養を摂取することは良いことといえます。
できればバランスを考えたお弁当が一番ですが、、学食やコンビニ弁当の場合に多少の栄養のかたよりがあっても、ご飯やうどん・パスタ等の炭水化物(糖質)だけは摂っておかないと練習の時にエネルギー切れとなってしまいます。

豆 知 識

ここで紹介する例は、お金が余分にかかるのであまり強くお勧めしませんが、効率よく体を作るのにある種のアミノ酸を練習前にとっておくと、筋肉増強や脂肪を効率よく燃焼させ体を絞ってくれたりするものがあります。(選手向けのアミノ酸ドリンクやタブレットが、いくつかのメーカーから市販されています。)
練習前にアミノ酸の「アルギニン」を摂っておくと体内の脂肪燃焼を良くし、筋繊維強化にも働くので体を絞るのに効果を上ます。
また、ウエイト.トレーニングなど、強い筋力負荷を伴う練習の前にBCAA(Branched Chain Amino Acids)と言われる「ロイシン・イソロイシン・バリン」の3つが連鎖してなるアミノ酸を摂っておくと、筋肉へのダメージを少なくし発達を促進してくれます。
これらの例では目的に応じたアミノ酸のサプリメントを、事前の食事と練習の間(練習の60〜90分位前)に他の蛋白質と一緒に摂らずに水などで摂取する。

次に練習が終わってからですが、食事(夕食)までの時間が相当あきそうな場合に一つの方法として「補食」を摂るのが良いと思います。練習後(練習直後は避け、ミーティング等の後のほうが良い。)に消耗し疲労状態なのに食事まで時間が長い事が予想される場合に、補食として何か軽く食べる或いは飲む事が大変プラスになります。
帰宅してからちゃんと食事をとるので、とにかく最低限の水分(水分に関しては気温などの状況に応じて、練習中や練習直後にとるほうが良い。)やタンパク質と電解質が補給ができます。
(練習後の糖分は取りすぎると成長ホルモンの分泌を妨げるので、取りすぎに注意。過剰に摂取すると、夕食の吸収も悪くなります。)

<アミノ酸のタブレットとグレープフルーツ等の100%果汁のジュースは手軽で効果的です。>

 

昼食で十分にタンパク質などの栄養がとられていない場合は、夕食や朝食で意識的にそれらの栄養を多く摂取するよう心がけましょう。
昼食でしっかり栄養がとられていても、夕食では量は多くなくとも糖質や脂肪、タンパク質(肉・魚・豆類等)の補給とそれらの吸収や体内での有効性高める為のビタミン・ミネラル等の5大栄養素をバランスよく摂りましょう。(減量中や故障中の場合には、必要に応じたバランスで。糖質や脂肪は控える)
当然、練習量をこなしている選手とお腹や塩分を気にする世代の方々と食事の内容を同じにしていたら、練習でもつわけがありません。
筋肉量を増やしていくのに低タンパク食でいれば、タンパク不足によりトレーニングで自己の筋肉を壊しても再生が追いつけず筋力アップが出来ません。
そのうえ低糖質食だったら、カロリー不足で身体が動かなくなり慢性疲労につながってしまいます。

タンパク質は筋肉を造るだけでなく、各種のミネラルを血液中で運搬したり結合したりして、様々な酵素やホルモンとして働く為に必要とされます。
貧血では鉄の摂取が大切ですが、摂取してからヘモグロビン(血液中で酸素を運搬する鉄タンパク質)やミオグロビン(筋肉中で酸素を貯留する鉄タンパク質)となるには、ビタミンC・銅・タンパク質等の栄養素もなければ完成されません。

後に述べますが、様々な栄養素(特にミネラルやアミノ酸)を吸収することでホルモンの分泌が良くなり、成長や回復の助けとなります。

たとえ科学的で高度な練習方法が考え出されても、その効果を身体に反映させるには必要最低限の栄養を摂取しなければありえません。

*あまり神経質にこだわる必要もありませんが、食品のカロリーや成分や1日の摂取量を調べるには、家庭科教材の食品成分表やスポーツ栄養学の本等を参考にすると良いでしょう。

豆 知 識

長距離選手が1日に摂取する3大栄養素の比率の目安

糖質:50〜55%   蛋白質:12〜20%   脂肪:30〜35%
1日 3500kカロリーの場合に成分だけを重さに換算した場合:
糖質1g4kカロリー 435〜480g 蛋白質1g4kカロリー 105〜175g 脂肪1g9kカロリー 130〜140g

1日 4000kカロリーの場合
糖質 500〜550g  蛋白質 120〜200g  脂肪 140〜150g

機ヅ質は主にご飯等の主食からとり、砂糖等の摂取は過剰にならないように。

供ッ素鮗舛魯好檗璽珍手の場合、自己体重1kgあたり2g以上(筋力強化期は3g位)の摂取が目安。
[体重50kgの場合:100g以上のたんぱく質が必要](一般人は体重1kgに対し1g)

例えば、最も蛋白質を含む肉類を100g食べても約20g前後の蛋白質しか摂取できません。
もし、1日に100gのタンパク質を肉だけからとると、500gをとらなければ摂取できません。(もっと蛋白質の含有量が低いものだと、そのぶん量を食べないと摂取できません。)
これだけの量を毎日食べるのは容易ではありませんが、そんな時はプロテインパウダー等の蛋白質含有量の高い補助食品を活用すると良いでしょう。(身体づくりに欠かせないアミノ酸が豊富です。)
純度100%のプロテインパウダーなら、スプーン1杯で約7gのたんぱく質が補えます。
(朝2杯 昼1杯 夜1杯 計4杯で 肉や魚、卵、豆類以外に+28gの蛋白質を摂取)

※アミノ酸とは淡白質を構成する大切なもので、必要なアミノ酸は肉類(動物性蛋白質)を摂取することで大丈夫ですが、ナッツ類・豆類(植物性蛋白質)などと一緒に取ることでより効果をあげます。

朝食における蛋白質摂取の例(左が食物の量、左の太字が含まれる蛋白質のおよその量)
ご飯300g 8
g   納豆50g 8g   焼魚80g 18g   卵1個 10g   豆腐の味噌汁1杯 5g  計 約49g
他に野菜や果物から1〜3gとプロテインパウダー2杯で14g  合計 約65gの蛋白質を朝食で摂取できます。

掘セ號辰任藁習がしっかりこなせていれば、揚げ物を控えるとか神経質に肉の脂身を取り除くなどしなくても大丈夫です。
かといって必要以上に脂っこいものをとる必要もありません。

脂肪にも身体を作るのに必要な脂肪酸等があるので、大切な栄養素といえます。
(できれば"いため油"や"サラダ油" は、合成でない植物性のさらっと軽いタイプの物が良いでしょう。)

ナッツ類の脂肪は適量とる分には、体に良いとされています。

 「栄養が休養で果たす役割」

これまで激しいトレーニングを行うには、その分各栄養素をしっかり摂取する事が大切であると言うことを述べてきました。

栄養は運動中だけでなく休養でも重要で、睡眠(休養)をとることで成長ホルモンが分泌され、身体の発達や回復を促進させるのに栄養素を活用します。当然蓄えられた栄養が足りなければそれなりの発達や回復しか望めません。
この脳下垂体から分泌される成長ホルモンは骨の成長・筋肉や靱帯、腱の発達・脂肪の代謝促進・病気への抵抗力強化・傷や怪我等の回復を促進させる等、成長期の子供や激しい運動を要求されるスポーツ選手では分泌が活発なほど発達度合いも大きいと言えます。

成長ホルモンは運動後等にも分泌されますが、食事で様々なアミノ酸やビタミン・ミネラル(特にビタミンではCや造血にも必要なB6、ミネラルではカルシウムやカリウムの他、タンパク質の合成や遺伝子の発現、免疫力に影響する成長には欠かせない亜鉛等がある。)を摂取する事により脳のホルモン放出のスイッチが入り、睡眠後90分ぐらいで分泌のピークに達します。そして睡眠中に摂取された各栄養素を基に肉体を発達させたり回復させたり、精神面をリフレッシュさせ、次の活動の準備をする為に身体へ働きかけてくれます。

寝る直前に食事をしたり糖分を摂ると、睡眠後の成長ホルモンの分泌の妨げになります。
帰宅後は入浴をすませたらなるべく早く食事を摂り、起床時間から最低とるべき睡眠時間を計算し、寝るまでの時間を可能な範囲で(勉強や日誌をつけたりして。)あけてから睡眠をとると良いでしょう。

即ちこれが「運動と栄養」と連係した「休養」の関係で、負荷をかけ栄養を摂取し、休養を取ることではじめて身体にトレーニングの効果が現れてくる。
試合の前日に緊張して眠れない等とは別に毎日のトレーニングをポイントに考えれば、この三つのバランスを大きく崩した過ごし方をして、目標を達成する事は非常に難しいものと言えます。

ここでもう一つ大事なのは朝食をしっかり摂るということです。(しっかりといっても、ただ大食いすればよいのでなく各栄養素を確実に摂取して下さい。)
眠っている間は、成長ホルモンにより身体の発育・発達や回復に各種の栄養素を使っていますので、寝起きの身体は低タンパク・低血糖状態です。
それゆえ朝は高タンパク質・高糖質(脂肪もやや多めでも大丈夫。)の食事が必要となります。
それこそ朝練をして朝食を食べないとかいい加減だったり等と、それを続ければかえって朝練が逆効果をもたらす場合もあります。

朝だいたい決まった時間に起き、決まった時間に朝食を摂る習慣があると、それに応じて各種のホルモン分泌のサイクルが安定し、1日のリズムがポジティブになってきます。
しかし起床がまちまちで、朝食の時間や食べる習慣自体が不規則な場合は、ホルモン等の分泌が不安定になったり、低血糖状態で頭がボーっとして集中力が出ない等、1日のリズムは肉体的にも精神的にもネガティブになってしまいます。(小中学生の「問題行動」にも関連)

1日のスタートとして朝食は軽視せず、しっかり摂る習慣を身につける事が大切です。

 

「さいごに」

これまでトレーニングに対し、いかに栄養や休養が大切かを述べてきました。
しかし大切な事は分かっていても「食欲が落ちて食べられなかったり、好き嫌いがどうにもならない。」等という問題も起きる事があると思います。
対策としては、まず本人の食べる努力が一番です。次に作り手側の食べさせる工夫も大変必要になってきます。(他の家族の好き嫌いで、食卓にあがらないメニューが多いのも大変問題です。)
例えば酢の物などで酸味を与えて食欲を起こさせるとか、噛む気力も無い時は流動食やスープにして飲ませる。また好き嫌いの場合にもスープにしたり、細かくきざんで好きな物と混ぜて食べさせるというように、各家庭ごとにアイデアを出してみる事はとても良いことだと言えます。
(酢酸やクエン酸などは疲労回復にも良いとされます。)

いずれにしてもトレーニング以外の栄養と休養の2つの条件は、家庭での理解と協力が無ければあり得ません。
だからといって選手本意に「何でもあり」にしては甘やかしにつながってしまうので、各家庭で限られた条件の中「ベストorベター」な努力でサポートする。
そして、選手はそのことを理解し感謝して、練習や試合に望む事が出来るよう努力してほしいと思います。

実業団選手でも自炊しながら活躍している人もいるし、海外遠征では食習慣の合わない国等で自炊を余儀なくされる事もあります。
強い選手は与えられた環境に対し「他はこうなのに」とか「他のチームはああだから」と言うような言い訳はせず、出来る範囲内で最大限の努力を怠らない。

その力は、自己の目的意識の明確化、取組んでいる事への価値観から生み出されるのではないでしょうか。

我が保善高校陸上競技部から一人でも多く「速いだけ」ではない
「強い選手」が誕生することを期待します。

 

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